こんな事を書く連中に対して竜ちゃんのカウンターパンチはきっと来る。そう、うみねこのなく頃に。

プレイ完了。

一言で感想を言うのなら、面白いけど「ひぐらし」程心を揺さぶるほどのものではない、という感じでしょうか。

もちろん一編だけで終わる物語ではないので、あくまで導入部としてのポジションにある話なのですが、「ひぐらし」の導入部である「鬼隠し編」といえばそれはもう恐怖のどん底に叩き落されるような物語で、「は、はやく続きをッ!続きを読ませてくれッ!!」と絶叫せんばかりのものだったので。故にそれと比較をするのであれば、何というかサーっと終わった感じがあります。

思えば「ひぐらし」は推理ものでありながら同時に自らが被害者という斬新な話だった訳ですが、今回は素直に推理物の小説みたいな印象です。勿論竜ちゃんがそれをぶち壊し、こういう否定的なレビューを我先にと書いている僕みたいな人間をアッーと言わせる仕掛けを掛けてくることはかなりの確率であることだとは思うのですが。

ただそういう事を考慮しても、物語は過程が面白くなければ物語としての評価は得られないと僕は思う。どんなに凄いどんでん返しがあっても、そこだけしか面白みのない物語に高い評価をつけるべきではないと。

ひぐらしはその結末に対して、ネットなんかでは評価が割れているわけですが、ただ一個の同人ゲームがここまで多様なメディアによって展開されていることを見れば、今でも絶大な人気を保ち続けているのは明らかです。

よって「うみねこ」が「ひぐらし」以上に洗練されたトリックを使って、プレイヤーを驚きの渦に巻き込んだとしても、「ひぐらし」程の人気を獲得できるかというと、それは難しい気がします。というかトリックの巧さだけでは世の中に数多く存在する推理小説から抜きん出る事は不可能だと思うし。たとえそれがメタフィクショナルなものであっても。

僕はひぐらしの凄さというのは演出だと言ってきたように、その恐怖たるやもう身を震えさせ、毛を逆立ててしまうほどだった訳です。その巧さとは、圭一という一人の主人公が語る形で物語を進行させることでプレイヤーと圭一とを同一化させ、その圭一に降りかかる身も凍るような出来事や事件をさもわが身で感じているかのような錯覚に引き込む事にあったのだと僕は考えています。

しかし今回の「うみねこ」では一応主人公として立てられた人物が存在しますが、徹底してその人物からの視点を描くものではありませんし、主人公の図像が最初から与えられているという時点で既に「ひぐらし」とは違っています。つまりプレイヤーは常に事件を外部から眺める傍観者である訳ですね。

つまり一般的な娯楽として読む推理小説と大差ないわけです。自分が事件にかかわらなければ人がどんなに死のうと関係ありません。ふむふむと思って読むだけです。 とゆーか実際登場人物もそこまで人の死に対して深く悲しんでいる感じが感じられない。

しかしひぐらしでは自分が被害者です。文字通り人事ではない。その緊迫感がページを繰る、というかマウスを握る手に一緒に汗も握らせてしまう訳です。

プレイヤーが最初からメタ的な存在であるならば、物語の中に提示された情報だけが自分の範疇のものだと最初から限定されますが、プレイヤー=登場人物であるなら、自分の外部に存在する知りえぬ情報に対して想像を巡らせ、恐怖することができる。思ってみればひぐらしの真の怖さというものは、文中の言葉より、それから想起される自分の想像にあったのではないかと思えます。

まあ「ひぐらし」でも事件の全体像を見渡す事ができるメタフィクション的視点はプレイヤーは持ちうるのですが、それを与えるtipsという要素はむしろ通常の一人称形式の物語に付与させるギミックとして斬新なものであったわけです。自分は今誰かに命を狙われていて、近くに信用できる人間もいず、孤立無援の状態である。そして自分のあずかり知らぬところで何か悪い予兆が起こっている。そこを主人公には知らせず、プレイヤーだけに知らせるというのは、非常に効果的な演出であった思います。

なんにせよ今回の「うみねこ」は真に迫った迫力が減退している。そういう意味で最初に言った「心を揺さぶる」ところがない、という訳です。

ただ「ひぐらし」の推理小説的な部分に対するツッコミは今でも言われていることであり、そういうところに慎重に作られていくであろうという予感をさせる今作は、そういう事にこだわる人にとっては納得できるものになりそう・・・と思います。

てか絶海の孤島で制限時間は48時間って段階で物語の幅やスケールが限られるよなあ。ひぐらしの村っていう設定はかなり好きだったなあと認識。

ああ、何か悪く書きすぎたかなあ。普通に推理し甲斐のありそうなところは面白いし、言ってしまえば物語のはじめもはじめな訳で、早計にも程がある感じが否めない。冬コミが楽しみなのは間違いないです。ひぐらしと比べてしまうのがいかんのだろうか。でもうみねこ「のなく頃に」だしなあ。ベルンカステルも出てくるし。

最後にベアトリーチェ萌え。


追記、というかメモ:
事件の本筋に必要のない事が一切排除されている感じがある。例えばレナが家にやってきてチェーンをガチャガチャやるとか、そういう類の。まあ別に怖さを求めてプレイするものでもないか。頑張って推理してみよう。